わが国の公共インフラはすでに維持管理の時代に入っており、補修を実施する上での問題点は、財源や技術者の不足とともに、現場施工による補修作業の困難さが指摘されています。橋梁の50％を占める鋼製橋梁の長寿命化に対する課題の一つに、防食補修があげられます。現場作業が難しい狭隘な部位に対しても補修施工が可能であり、かつ耐久性に優れる防食技術が求められています。
常温金属溶射は、主として鋼構造物に対する防食技術として優れた性能を有し、ライフサイクルコスト（LCC）の低減を図ることが可能です。本マニュアルでは、鋼製橋梁に代表される鋼構造物の防食に対して、本技術を適用するための設計や施工の標準を示しています。さらに、既設構造物に対して本技術を適用のための調査・診断、および施工後の維持保全についても示しています。
2001年4月の初版から23年間が経過して、多数の新設工事と補修工事において、本技術が適用されて来ました。これまでに得られた実験的な研究開発の成果、および施工実績に基づく知見を含めて、充実した内容へと大きく改訂しております。本マニュアルを鋼構造物に対する防食技術の向上にご活用ください。
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